2007年04月06日

そして時間は動き出す

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蝉が鳴いていた。




かすかな時間のみ地上に出る事を許された

その密やかな生涯を謳歌するかの様に





この世に生まれ出た己の存在意義を確かめるかの様に








受け継いだ命を意味のあるものにするかのように






蝉は全身全霊で鳴き続けていた。















そんな大合唱の中

夏休みの近づく北高の体育館では

全校集会が行なわれていた。





田中一馬の告別式の知らせと

その儚い生涯を悼む数々の言葉




そして



より一層の安全を生徒に促す為の集会だ。











一馬が事故を起こしたその朝も

こんな風に集会が行なわれた。



















あの日


事故のあったあの日以来

拓哉は後悔し続けていた。











もし…










もしも自分があの日普通に登校していれば

一馬は事故なんかに遭わなかったのではないか?










そんなまったく脈絡のない

関係性すら結びつけたくなる程


拓哉は苦しんでいた。










事故以来、拓哉は毎朝定時に学校へ通っている。









普通ならば不登校になっても

おかしくないはずの心境





しかし

拓哉は出席し続けた。








やり場のない怒りを自分の中に押し込め

あえて引きこもる己の心ををいじめぬく事で


一馬を失った苦しみから

逃がれようとしていたのかもしれない。












拓哉は何も語らない。




それだけに拓哉のとった行動は

周りにあらぬ誤解を与えた。










『血も涙もない』








そう囁く者もいたが


拓哉は弁解もせず

一切己の心情を露わにする事はなかった。















やがて一週間が経った。





少しずつ北高にも日常が戻りだし


学期末の試験が始まった頃から


拓哉は妙な感覚に捕らわれるようになっていた。







授業や試験の最中、瞬間的に意識を失う事があり


ふと気がつくと

テスト用紙やノートに

変な文字を書いていたりする。




眠気に襲われた時

ミミズの這った様な線を書く事あるが


それとは明らかに違う。







第一、睡眠はしっかりとってるし


己が書いたはずのものは

明らかにそういうデタラメなものではない。






文字としてこそはっきり形をなしていないが

規則性のある文字配列とひと文字ごとの大きさ



間違いなくこれは文字だ。








最初はあまり気にしていなかったが


ある事をきっかけに

拓哉は己の身に起こる事態を

異常と感じる事となる。











期末テストの採点が終わり

担任から答案用紙を受け取っていたその時だった












受け取った答案用紙をひと目みた拓哉は

思わず声をあげた





『うぉっ!?』














手にした答案用紙いっぱいにぶちまけられた






『血液』









真ん中には血糊でべったりと


しかしはっきりと書かれた






『タスケテ』



の文字。










思わず手から答案用紙を払い

後ろの机に蹴つまづく拓哉







『どうしたっ!?佐伯っ!!』











尋常ならざる拓哉の反応に

担任は驚き声をあげた。












『ち…』











言葉にならぬ息を飲み込み


拓哉はもう一度答案用紙を見つめる












答案用紙に描かれた

真っ赤な丸の数々





真ん中に書き殴られた89点の点数






担任が答案用紙を拾い上げ


今一度拓哉に手渡す






『佐伯、今回の期末は結構難しかったが

よくこの点を維持できたな。


驚かなくてもこれは見間違いじゃないぞ』








気遣うように笑顔を作る担任











しかし拓哉は今はっきりと気付いた






何か









誰かが何かを俺に伝えたがっている、と。















そうやってしばし佇む拓哉を


教室の隅でじっと見つめる

ひとりの女生徒がいた。










片岡美優








彼女もまた

何かに気付いたようであった…














続く


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2007年03月17日

帰らぬ日々

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『…!?』











拓哉は最初田辺の言ってる事の意味が

理解できなかった。





















というより


理解する気になれなかった。











『ビョウインデイキヲヒキトッタンダゾ』














そんな音としてしか

田辺の声を認識しなかった。













ミルクを落としたコーヒーのように


拓哉の世界がぼやけていく…




































駆け出していた。


田辺の制止を振り切り拓哉は

一馬の搬送された救急病院へと

無我夢中で駆けていった。

















途中の事は何ひとつ覚えていない





ただひたすら


拓哉は駆けた。















拓哉が再び我を取り戻したのは




病室の前の席にちょこんと座る

一馬の両親の姿を見た時だった












足音に気づき

精気のない瞳で拓哉を見つめる一馬の母




幼い頃、一馬と二人でいたずらをした時

散々叱ってくれた、あの強い彼女の瞳が


今、何の感情もたたえる事なく


拓哉を見つめている。








『拓ちゃん…』











それが彼女の精一杯だった。



となりで力なく首を振る一馬の父。
























拓哉はすべてを悟った。









もう一馬はいない。








どんな時もそばにいて

いつだって無愛想な俺を

笑わせようとしてくれていた




優しい幼なじみは













『もういない』






拓哉はその場に立ちすくんだまま


じっと一馬の母親のすすり泣く姿を


見つめていた。








一馬の体が横たわる

病室には









進めなかった…













窓の外では蝉が激しく






鳴いていた…









続く

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タグ: 声優
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2007年03月11日

静寂の告白

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その日

佐伯拓哉はいつものように

重役出勤で北高に向かった。








しかし、辿り着いたいつもの北高は

いつもの気だるい空気を

纏ってはいなかった。













人の気配が感じられない。


教室中のどこにも授業中に佇む

『あの空気』が流れていないのだ。









『あれ?今日休みだったっけか?』

北高に入って間もない一年生の拓哉は

のんびりと呟いた。






いや、休みではない。

ちゃんと学生達の自転車は駐輪場に

所狭しと列べられているし

教師達の見慣れた安っぽい乗用車も

いつもの場所に留まっている。








しかし、明らかに校舎内に人の気配はないし


物音ひとつしやしない。





『朝礼か?んなアホな

 もう二限目入ってるだろ』









時計の針は10時を回っていた。


それでこの様子は明らかにおかしい。







拓哉は不信に思いながら

とりあえず教室に向かった。















佐伯拓哉は進学校である北高の中でも珍しい











いわゆる『不良』である。









しかし


一般的な普通の不良とはちょっと違う。


自分からは決して暴力は振るわないし


悪い仲間とも連んだりしない


一匹狼な不良だ。










入学当初、先輩達から生意気だと絡まれ


いとも簡単に

返り討ちにしてしまった事があったが


その時は誰がどうみても多勢に無勢で


しかもその無勢の側の拓哉が

場を占めてしまったもんだから


誰も何も言えない状況になってしまった

というエピソードもある。

















拓哉はマイペースである。

ただそれだけ。





185cmの長身と精悍な顔立ちが

いかにもな空気を醸し出してはいるが


それは受け取る側の感覚であって


拓哉自身は

決して自分が不良をしているつもりはない。







重役出勤は中学の頃から変わってないし


生意気だと目を付けられる事も


いつもの事だし

いつもの通り処理してきただけ。



自分から何かを仕掛けるでもなく


迷惑もかけていないのだから

それでいいと思っていただけの事。









こんな拓哉だが

ただ不思議と問題児扱いはされてなかった。













いや、重役出勤は問題っちゃあ問題なんだが











何となくそれを許してしまう空気を

拓哉は持っていた。


遅れてきても不登校はしないし



そのくせ何故か勉強もできる。







クラスメートとの関係も悪くない。







むしろ

みんな拓哉を好いている風でもあった。










先生たちも

『いい加減遅刻はどうにかならんか』

と言いつつ、なんとなく

拓哉を可愛がってる感じが

それとなく感じられた。










憎めない。



拓哉の雰囲気は一言で言えばそんな感じだ。












その佐伯拓哉が廊下を一人歩く。









シィン、と静まり返った廊下に

拓哉の足音が小気味よく響く









その静寂の中、ふと


拓哉は遠くから近づく物音を耳にした。










どんどん近づくそれは

急いで駆ける誰かの足音だった。






廊下の角を曲がってきたその足音の主は


数学の田辺だった。









特に数学のできる拓哉を

田辺は結構気に入っていて

何かと拓哉と接点をもっていた。











その田辺が拓哉の顔を見るなり怒鳴りつけた。









『バカやろう、佐伯っ!!』

『お前はこんな…こんな時にまでっ…』








拓哉は驚いた。


あの温厚を絵に描いた様な田辺が

息を切らせ

今まで見たことのない形相で

自分を怒鳴りつけている。









これまで怒鳴られ馴れてはいる拓哉だったが

今の田辺の一言は衝撃的だった。









何かがあった。










田辺の尋常ならざるその様子から


それを感じ取った拓哉が口を開く前に


田辺がその言葉を遮って

拓哉に事実を伝えた。











『拓哉…お前の幼なじみの一馬が…』


















『たった今、病院で』






































『息を引き取ったんだぞ…』











続く

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2007年03月10日

最終カーブ

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商店街を駆け抜ける一馬のポケットには

一通の手紙が入っている





もちろん村上早紀に宛てた

想いを込めた手紙だ。










『誠心誠意』







おそらく一馬は生まれて初めて

この言葉通りの行動をとった











夜を徹して書いた手紙


何度となく書き直しを繰り返し

完成したものを読み返しては破り

また書き直す





そんな事をして朝までかかった渾身の一作








その手紙と共に一馬は

あるものを一緒に封にした





是非とも受け取って貰いたかったもの



早紀を想うすべてがそこに詰まっていた。








『あの角を曲がれば』




いつもすれ違うあのポイントに差しかかる






渡す手紙をふと見やりながら

いつものように彼女までの

最終カーブを曲がる一馬
















そのふとした一瞬のわき目が

一馬からすべてを奪った








交差する車線からやってきた一台の乗用車



いつもなら難なくかわせる一馬だったが


一瞬のわき見とポケットを押さえた手


そしていつもより心持ち力の入った加速は



一馬の自由を奪うには十分過ぎるのだった。












激しい衝撃を感じ、宙に舞う一馬は思った





『そんなんありかよ…』








同時にポケットから飛び出した手紙を

目端にやりながら



一馬は再び地面にその体を打ちつける







車のドアが開く音


近寄るたくさんの声の中で


一馬は最後に自分の名を悲痛な声で呼ぶ

女性の声を聴いたような気がした…











そうして

一馬の意識は

闇の中に吸い込まれていってしまった。












続く

















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posted by とっきー at 21:27| 東京 ????| Comment(20) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月09日

持つべきものは悪友

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一馬はその日を境に東校に通う

かつての同級生に連絡を取りまくった。





彼女の存在を詳しく知る為に。





今では別々の高校に通ってはいるが

ほんの数ヶ月前までは

同じクラスでバカをやった気心の知れた奴だ





映画のペアチケットで商談は成立した。








『ちゃっかりしてやがる』と思ったが

今はなけなしの全財産より情報が必要だ。


背に腹は代えられないとはまさにこの事



さらに

一度だけ貴重なすれ違いタイムを犠牲にして

一馬はそいつに彼女の姿を確認してもらった。



お金よりも何よりも代え難い貴重なひと時だが






何事も先行投資は必要というもの








涙を飲んで実行に移した。










その甲斐あってか

かつての悪友は思ったよりも敏腕で

その日の夜にはすでに情報を仕入れて

連絡をくれたのだった。













東校一年、村上早紀。


バトミントン部に所属していて

成績も優秀な才女。


得意科目は英語で

将来は海外を渡り歩く仕事を夢みている。



スリーサイズは別途飲食代とボられたが

即座に承諾した事は墓場まで持ち運ぶ秘密だ。









そして…











肝心要の現在、付き合ってる彼氏は…












なしっ!















吠えた

吠えた





一馬は電話口で全力で吠えた









あとからきっちり親から叱られたが

それすら幸せに感じられた。











後はどれだけ早く行動に移すかが問題だった









実は付き合ってる奴がいなくても




彼女を狙ってる奴は結構いるらしい。











冷たい汗が背を伝う。








やるならすぐにだ


そう思った一馬は早速プランを練り今朝に至る。

















続く


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posted by とっきー at 11:08| 東京 ?J| Comment(10) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月07日

偶然が繋げた必然

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それは本当に偶然だった




バトミントン部の朝練に向かう村上早紀と


野球部の朝練に向かう田中一馬






北校側からやってくる東校の早紀と


東校側からやってくる北校の一馬がすれ違う



そのたった一瞬の出来事








何のこともないたった一瞬の偶然が


一馬の胸を鷲掴みにした…














リベラルな校風のせいか早紀は輝いて見えた




少し赤茶けた長い髪は朝日に照らされ

金色の輝きを纏う



ストレートの時もあればリボンで結っている事も



すれ違うたび、彼女の髪型はアレンジされていた





持ち物も個性的で

部活に使う赤いバッグは

制服のスカーフやリボンの色と実に良くあい



とても鮮やかに一馬の瞳を奪ったのだった












そうして偶然訪れた日常だったが

たった一度だけ奇跡を生む








いつもようにすれ違うその瞬間


早紀のバッグから

バトミントンのシャトルの入ったケースが

こぼれ落ちるのを一馬は見逃さなかった





瞬間、急ブレーキをかけ拾いあげる一馬



少し遠ざかった場所から自転車を停めて

早紀が駆け寄ってきた




『ありがとう!』






とても爽やかな笑顔をたたえて

彼女は一馬にお礼を言った



改めて近くでみると早紀はとても眩しかった



大きな瞳に柔らかな目元

そしてすこしあどけなさを含んだ唇





まともに見る事が罪と思えるくらい

早紀は眩しかったのだ









『いえ…』








それが精一杯





真っ赤な顔を俯かせて

一馬はケースを手渡す






『じゃ…』










息ができない






苦しくなって無様にむせる様を

見られたくない一馬は

全力でペダルを漕ぎだし









その場から逃げた















一馬がその日一日自分を心底

けなし続けたのは言うまでもないだろう。











だが、偶然は必然を生んだ












その日以降

彼女はすれ違うたび一馬に会釈する





言葉こそ交わさないものの


一馬にとってはそれは至福の一瞬






一馬も笑顔は見せなかったが

(不気味な笑顔になりそうだったから)



その分大きく頷く様に頭を沈ませ

強く漕ぎ出す動きに変えて










逃げた
















後で激しく後悔するくせに












だから一馬と早紀は

まったく面識がないわけではなかった









続く







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posted by とっきー at 02:45| 東京 ????| Comment(9) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月06日

痛恨の選択

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本土である尾道側とそれを挟む形で浮かぶ向島


その間を流れる瀬戸内の海は

まるで造られた水路のように

満面と水をたたえている





その水路の様な海を、地元の人は

『尾道水道』とよんでいた






よく映画やテレビで目にする尾道の町に出てくる


あの海だ。




そんな尾道水道から吹き荒ぶ風を抜けて


田中一馬は町の中心部へと

自転車を走らせていた。










間もなくだ…








間もなく村上さんとすれ違う

唯一のポイントだ





ハンドルを握る一馬の掌と額や背中

果ては脇の下まで汗が滲む







初夏の強い日差しがいよいよ本腰入れて

仕事を始めたせいだろうか









『おちつけ、バカ』


一馬はひとりつぶやいた。


















出会いはまったくの偶然だった



夏の大会が近づき

活気づくサッカー部の朝練に向かう途中で






たまたま一馬は彼女を見かけた。








固い校風の北校に比べ

いくぶんリベラルな校風の東校



地元の学生は受験の時

この北校と東校のどちらを希望するか

願書に記入する。






選抜受験となるため、必ずしも書いた方に

決まるわけではないが



それでも学生たちにとっては

大切な志願書だ












一馬は当初、東校を希望していたのだが

固い校風から、より進学率の高いイメージの

北校を親から懇願され

やむを得ず北校と書いたのがいけなかった





希望はそのまま通り





一馬は現在に至るのである。







最初は受験に受かった喜びに東校に対する

憧れも薄らいでいたが





彼女






村上さんを偶然見かけた時



一馬は生まれて初めて親を恨んだ









だけど今はそんな事どうでもいい









とにかく

計画通りに事を運ぶ







それが一番大切なのだ





一馬はそう自分に言い聞かせていた






続く


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2007年03月04日

想いは潮風を抜けて

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まだひんやりとした空気をまとった朝焼けの中

初夏の太陽は、今日という一日を

全力で焦がす支度を始めていた





そんな風な意識をジリジリと背中に感じながら

尾道北校の一年生、田中一馬は

全力で自転車のペダルを漕いで

通学路を進んでいた






一年を通じて穏やかな瀬戸内の海は

めったに荒れない



だけどたまに強い海風を大地に運ぶ時がある



今朝がそんな時だ






一馬の全身を強い力が押し返す




本当に前に進んでいるのか

分からなくなるくらいだ







普段であれば文句の嵐のはずなのに




今日の一馬は無口だった




いや、むしろ

その風を待ち望んでいたかのようだった





尾道水道から注がれる

まばゆい光と激しい風の中


一馬は思っていた



少なくとも風と闘っている内は

余計な不安から解消される



なすべき事をシンプルに考える事ができる、と






そう

間もなくすれ違うだろう

この時間、一人で登校するはずの

東校の村上早紀さんに

一声かけてこの手紙を渡す



たったそれだけの事をすればいいんだ、と







高鳴る気持ちを抑えつつ一馬の足に力が入る



この風に負けなければ

きっとすべてがうまくいく




そんな祈りにもにた願いを込めて

一馬はペダルをひたすら強く

踏み込み続けていた





続く






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posted by とっきー at 21:14| 東京 ????| Comment(12) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする